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自宅外に花の教室を開く


自宅外に花の教室を開く

自宅外に、自力でフラワー教室を開く方法(教室経営者が別にいて、そこに呼ばれたり、所属したりする場合を除きます)を管理人自身の経験を交えて紹介します。

※フラワーアレンジメント、プリザーブドフラワー、いけばななど、各種の教室を想定した情報にしてみました
※ここに紹介されている方法以外でも、外部に教室を開く方法はあると思います。あくまでも、「参考」にどうぞ

 

外部教室は、自宅教室よりも「正式」に感じる人が多い

花関連の教室は、「先生のご自宅に通う」というものが非常に多いです。(自宅教室については、こちらのページを参照ください⇒自宅で花の教室を開く
しかし、さまざまな理由で、自宅の外に教室を構える先生もたくさんいます。私自身も、貸し教室で開講しています。

外部に教室を開く理由はたくさんあります。例えば、下記のようなものです。

「交通アクセスの悪い自宅よりも、便利な場所に教室を持ったほうが生徒さんを獲得しやすい」
「家は、狭くて人を入れられない」
「今まで自宅教室だったが、生徒さんが増えたので場所を広げたい」
「貸しスペースを借りたほうが、宣伝や営業活動がしやすい」
「外の方が、家族に気兼ねしなくていい」
「ここで教室を開きたいという、憧れの町がある」
「自宅を教室の開講前に掃除したり、終わった後に片付けするのを考えると、いっそ外の方が楽」
「以前から、教室は外で開くものだと思っているので、自宅教室の選択肢が最初から無い」
「家に他人が来るのがイヤだ」
「生徒さんにフリーで花を選んで欲しいので、どうしても花屋さんの中にスペースを借りたい」
「外に教室を持つのが夢」

講師の側には、上のように色々な理由がありますが、生徒の側からすると、外に教室を構えて行われているレッスンの方が正式な教室と感じられるそうです。そのため、自宅でない方が、
「きちんとした教室である」
「信用できる先生である」
という印象が強くなる傾向があるようです。
また、個人のお宅にあがることに抵抗がある生徒さんも存在しますので、その理由で「自宅教室」という文字を敬遠する人には安心されるでしょう。

しかし、外部の教室にした方が、圧倒的に多くの生徒さんが集まってくるというものでもありません。なので、自宅でも、外部でもどちらでもいいと思っている場合は、「生徒さんが増えたら外に探そう」という考え方でも良いでしょう。ただし、何年か後に、「やはり最初から外部に教室を見つけるべきだった」という後悔をしないように、ご自身の状況や希望をよく考えて、自宅教室か外部教室かを決断してください。


 

外部教室の場所決めは、住居探しによく似ている

外部に教室を探す場合、すでに候補地があるなら、まずそこを当たってみるのがいいですが、そうでなければ、基本の探し方は住居を探す場合とほぼ同じです。
ゼロから教室を探すときには、まず自分が何を重視してその場所を探したいのかをピックアップします。その際に、「重視項目」にはっきりした優先順位をつけられるならつけてみてください。
たとえば、こんな項目が挙がってくると思われます。

「自分の家から、30分以内で通える」
「最低でも、○○人の生徒さんを収容できる」
「最寄駅から5分以内」
「花屋さんの内部」
「場所代が、○○円以内」
「懇意の花屋さんの配達圏内」
「山手線の内側」
「憧れの場所をピンポイントで希望」

↑上には、かなり一般的なことを書いてみましたが、実際にはもっと個人的かつ具体的な項目が挙がってくるはずです。
条件は、最初は高めでいいです。条件を下げることはいつでもできますし、不動産探しをしたことがある人は分かると思いますが、「ありそうもない物件」というものは、決してゼロではないからです。

下に、具体的な例として、管理人自身の経験を書いてみます。

管理人の外部教室探しの実体験

私が、外部教室を探したときの「重視項目」は、下記のようなものでした。(ここで紹介している例は、私が一番最近契約した貸し教室のものです)

◆家から歩いていけるか、遠くても電車で一駅程度の距離
◆1時間単位で貸してくれるところ。(2時間に譲歩可)
◆生徒三人分のレッスン料で一か月の場所代がまかなえる
◆駅から徒歩10分以内
◆候補が複数見つかった場合には、一番安いところにする
◆道具(花器数点を含む)を置かせてもらえる

結果的には、私はすべての条件を満たす場所を見つけました。実際にはどんな物件だったかと言うと、

◆家から歩いて5~6分
◆2時間単位で借りられる
◆生徒三人分のレッスン料で一か月の場所代がまかなえる
◆駅から1分
◆道具(花器数点を含む)を置かせてもらえる

振り返ってみると、運がよかったのだろうと思います。
私は幸運にも、条件を譲歩せずに貸し教室を見つけることができましたが、実際には何らか1項目くらいは譲歩することになる場合が多いと思います。そのときには、自分が最もゆずれないものは最後まで大事にして、優先順位の低いものから手放していきましょう。


 

貸し教室はどこで探すのか?:その1……収入にならなくても良いなら、公民館や市民会館で開くのが元手いらず

公民館や、市民会館などの多くは、市民による講座や教室のためにスペースを貸してくれます。自分の住んでいる地域や、通える地域に、教室を貸してもらえる公民館などがないかどうか探してみましょう。
大抵は、非常に安く貸してくれますし、無料のところもあります。これは、稽古場の主催者にとってはありがたいことで、生徒さんが少ないうちから場所代ばかりかかることで、金銭的に続かなくなる危険性が少なくなります。
しかし、それだけに競争相手も多く、教室スケジュールが埋まっていることがほとんどで、問い合わせても「空き時間なし」で断られることが多いと思います。なので、地域の広報などを見て、空きが発生しないか確認したり、公民館の内部に知人の関係者がいないか探してみる(いち早く情報を教えてもらえます)など、継続して状況をチェックすることが必要です。

上のような努力をして、教室のスケジュールに入れてもらえることになったとして、大勢の生徒さんが来てくれたとしても、営業利益は上げられないものと思ってください。公民館や、市民会館の講座では、収入を得ることはほとんどできないのが現状です。
公民館などの講座は、「営利目的禁止」が規約に入っているのが基本です。よって、花代と諸経費を回収する程度の金額で運営することになります。本来は、ボランティアの意識で開講するべき場所なのです。

しかし、公民館・市民会館で開講している先生のすべてがボランティア精神のみで行っているわけではありません。そういう場所で開講することで、出会いの場を増やす・役所や自治体の人に顔を売る・花屋さんからの購入実績を伸ばす、などのメリットも得られます。
また、公民館などで開講することによって、別教室の生徒さんを増やす、というテクニックがあります。多くの先生は、公民館などの稽古場を、完全に「初心者仕様」にしています。あくまでも、公民館などで行うのは、「入り口を体験する」ことにとどめ、それ以上に専門的なレッスンを受けたければ、先生が別の場所に持っている、もっと本格的な教室に招き入れる……という風に、月謝がかかるところに生徒さんをつれていく導線を引くのです。
もちろん、「入り口だけ楽しめば十分」と思う人は、その奥にある本格的な教室には来ないでしょう。しかし、そこに「行ってみたい」と思わせるのが、先生の魅力であり、腕なのです。


 

貸し教室はどこで探すのか?:その2……貸しスペースを、Webなどの告知ツールで探す

教室・講座などに場所を貸す商売をしている会社の告知を探します。
アナログな探し方としては、電話帳や看板などを見る方法があります。(この方法もバカにできません。私の現在の教室は、駅前の看板で見つけました)

より楽に探せるのは、やはりネットです。「貸し教室」「レンタル 教室」「レンタルスペース」などのキーワードで探してみましょう。

少し検索してみれば分かると思いますが、場所を借りるのは、結構なお金が必要です。この現実は、「場所を確保してから、生徒さんを増やそう」という計画が、大きな赤字前提になる可能性が高いことを示しています。特に、首都圏では、相当厳しいと思うべきです。

それでも、安い掘り出し物物件が無いとも限りませんので、本気で探したいのなら、こまめにチェックしてみましょう。上記の検索ワードに、「低価格」「激安」などと付けると、安いものがヒットしてくるかもしれません。
場所代が高くてもかまわないのであれば、各種条件が良い貸し教室と契約しましょう。先生のスキルが同じであれば、場所が良い方が信用されますし、生徒さんも居つくのです

賃料の高い場所でも、安い場所でも、うまく探し出したときには、「花の教室のために使用してもOKなのか」ということを、必ず確認しましょう。場所によっては、水を使うことを嫌われて、断られることもあります(プリザーブドフラワー教室が断られることは無いと思います)。また、いけばなの場合は、花器を置かせてもらえるのかどうかも必ず確認しましょう。断られる可能性は、低くはないです。


 

貸し教室はどこで探すのか?:その3……花屋さんに交渉する

「花屋さんの奥や、二階に花の教室がある」というのは、実は一昔前にはスタンダードな運営スタイルでした。スペースに余裕のある花屋さんが減ったためか、今ではほとんど見かけなくなりました。
この方式の良いところは、生徒さんが店頭で好きな花を選べることと、花代を安くしてもらえる可能性が高いことと、花屋さんが高い場所代を要求することがあまり無いことです。生徒さんの数が大勢で、たくさんのレッスン花が売れる場合には、「場所代は不要です」と言われることも珍しくありません。

この方式は、現在の東京ではもはや難しいです。しかし地方なら、まだ可能性があるでしょう。

このような「教室に場所を提供してくれる花屋さん」の情報は、ネットでも探しにくいです。地道に足で探すか、人づてに情報を集めるくらいしか方法がありません。一番簡単なのは、親しくしている花屋さんに、
「教室に貸してもらえる場所がありませんか」
と聞いてみることです。一見、教室にするような場所がなさそうな花屋でも、意外に裏の作業場が広いことがありますので、交渉次第では貸してもらえることもあるかもしれません。


 

貸し教室はどこで探すのか?:その4……本来は貸しスペースではない場所を、「貸してください」と交渉してみる

これは、なかなか勇気がいりますし、成功する確率が低いのですが、私の知人で実際にこの方法で開講に至った人が複数いるので、一項を設けてみます。

これはどういうことかと言うと、もともと場所を貸そうなどとは思ってもいない相手に、
「花の教室の場所を探しています。貸してもらえるスペースはありませんか」
と聞いてみるという方式なのです。
これは、最初は身内やごく近しい人に交渉するところから始めるのが良いと思います。この方法で成功した私の知人たちの実例は、
「勤め先の会社の作業場を、休日に借りている」
「知人の経営する学習塾の、空き時間を借りている」
というものです。

この方法は、私自身が経験していないので、賃料などをどう交渉していくものなのかが分からないのですが、身内・知人であれば、お互いに率直に話し合えるのだろうと思います。

もしも、見知らぬ相手に飛び込みで「この場所を貸してください」と交渉する勇気のある人は、あらかじめ話の運び方や値段設定などを考えておいた方がよいでしょう。


 

【参考】管理人が「外部教室」をどう考えてきたか

実体験に基づく参考情報として、管理人が今まで外部教室をどう考えていたか、実際にどう契約したかを書いてみます。

私は、20代のころに花の先生の家に居候していたことがあり、その時代は自分の「自宅」と言えるものがありませんでした。なので、教室を持つためには、外部教室を構えるしかありませんでした。

最初に持った外部教室は、知人の紹介で、そのとき空き家となっていたマンションの一室を、1回2,000円で借りたものでした。知人の知人が持ち主のマンションでしたが、間に入った知人のおかげで、とても安くて荷物もいくらでも置いて良いとう好条件でした。
数年後、そのマンションをやはり居住用にするとのことで、私の教室は引っ越ししなければならなくなりました。

二か所目の外部教室は、ある幼稚園の会議室を借りたものです。たしか、電話帳に載っていた広告を見て申し込みました。この場所も、会議室の机が使えて、荷物を置くスペースもたっぷりもらえ、良い教室だったとは思うのですが、賃料が私には痛手でした。生徒数も少ない時代で、レッスン料はほとんど場所代で消えました。ギリギリ赤字にならない程度で、月によっては赤字だったこともあります。
私は、このときの赤字の恐怖がとても大きく、居候生活をやめたら自宅教室にして、稽古に場所代を払うのはやめたいと思っていました。
実際に、数年後にアパートで独り暮らしを始め、そのときに外部教室から自宅教室に移行しました。

次に外部教室を借りることを考え始めたのは、アパートから出て自宅マンションを持ち、そのマンションの生徒募集をWebに出すようになってからです。
Web広告からの問い合わせを受けるうちに、私は、全く見知らぬ人が自宅の中まで簡単に入ってくることのリスクを感じるようになりました。
花の教室に入門するのに必要なやり取りは、メール2往復くらいで済んでしまいます。メール2往復で、その時点では素性も定かでない人が、家の中までやってきてしまいます。これを、私は重荷に感じ始めました。
また、男性の入門者が現れたらどうしようと考えたときにも、「家の中に、男女二人きりで相対する」のは望ましくないと自分には感じられ、ならば男性の入門希望者はお断りをしなければならないと思ったときに、
「もう一度、外部に教室を借りよう」
と決断しました。

そこからは、主にネットと知人へのリサーチで貸しスペースを探しました。それほど集中して探したわけではないので、良いと思われる物件には1年たっても巡り合いませんでした(集中して探していたら、もっと早く見つかったと思います)。
漠然と「良い場所があったら動こう」と思いながら暮らしていたときに、駅から家に向かう道の途中で、「貸し教室」という看板を見つけました。場所と構えが、自分の思う以上の物件だったので、
「おそらく、予算と合わないだろうし、スケジュールもあいていないだろうな」
と思いながらも、看板を画像に撮って、家に帰ってから検索しました。
すると、賃料は、思っていたよりもだいぶ安いものでした。そうなると、絶対にスケジュールが埋まっているだろうと思いましたが、ダメでもともとと思い、問い合わせメールを出してみました。
結果的に、スケジュールはあいていて、私は現在その教室を借りています。
自宅教室には、もう新しいお弟子さんを迎えるつもりはありません(よほど親しい人なら考えます)。Web広告も、自宅教室の案内は取り下げ、外部教室の告知のみにしました。

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