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花の先生に資格は必要なのか?


花の先生に資格は必要なのか?

世間的には、「花の先生=指導資格を持っている人」と思われているはずです。また、実際に、花の先生のほとんどは、何らかの指導資格を持っていると思います。
しかし、花の先生は、公けの認可など必要なくなれるので、現実には「資格無しで花を教える」ことは可能です。

この記事では、資格有りの先生と資格無しの先生は、具体的に何が違うのか、それぞれのメリットやデメリットは何か、などについて書いてみます。

 

資格無しの花の先生とは?

上にも書いたように、資格を持っていない花の先生と言うものは、十分にあり得ます。

まず、資格が備わっていないジャンル(新しいジャンルや、技術を修めている人口が少ないジャンルなど)だと、そもそも資格を取ること自体ができません。自分が生み出したオリジナルのジャンルで教えようという人も、これに当たります。

既成の資格があるジャンルでも、独学で知識や技芸を修め、どの団体にも属する意思が無く、それでも人に教える力量があって教えている人は、資格無しの先生ということになります。

しっかりとライセンスが整備されているいけばな、フラワーアレンジメントの世界でも、無資格の先生は居ますし、違反でもありません。花の技術を学ぶことには興味があっても、資格方面の興味が全くない人というのは居るのです。その人のもとに、教えて欲しい人が現れて、「では、資格は出せないけど技術は教えましょう」となったら、そこには無資格の先生が生まれます。

例えば、料理が得意な友達の家に行って料理を教わるときに、「資格はあるのか?」「資格無しで教えるのはおかしいではないか」などと思う人はいませんよね? それと同じで、「花が得意な人に花を教わるだけ」であれば、資格はあっても無くてもあまり関係ないのです。教える人の、センス・技術と、教えてもらいたい人の存在があれば、それで成立します。
花の教室を開くのに、特に役所に届け出なども必要ありません。

実際に、資格を持たずに花の技術を教えている人はいるのだと思います。やってはいけないことは、資格が無いのに「一級ライセンス有り」とか「資格申請できます」とか、ウソを言って教えることです。


 

有資格の先生と無資格の先生の違い

有資格の先生と、無資格の先生の大きな違いは、前者は「誰かに『この人には十分な知識と技術がある』と証明してもらっている」ということです。
証明している「誰か」とは、持っている資格によって、国の機関や、〇〇協会や〇〇スクール、〇〇流など、いろいろです。
どこが認定しているにせよ、有資格の先生は、知識・技術を保証する書類を出せます。その事実が、「きちんとした先生である」と人に思わせる力を持っています。

実際には、「きちんとした書類に保証された先生」であるのに、全然きちんとした先生ではない場合もあると思います。真面目に技術を磨かず、生徒さんの気持ちも考えず、自分しか大事にしない教室運営をしている先生も、世の中にはきっといるのです。
そんな先生につくくらいなら、いっそ資格は無くても、高い技術と熱意をもって、教室の生徒さんを愛してくれる先生についた方が、楽しい花ライフを送れるかもしれません。

無資格の先生は、「あなたが先生たり得ると保証する書類を出せ」と言われても、持っていないのだから出せません。保証の紙一枚を重んずる相手には、使える武器は無いのです。しかし、本当にその先生の力量を見るつもりがある相手には、実技や講義の実地や、過去の業績の資料を見てもらって、自分の力を認めさせることはできます。本当に優れている人は、保証書類と同等のものを本人が出せるのです。それなら、「有資格」に劣るとは言えないはずです。

しかし、無資格の先生には、一つだけ生徒さんに与えられないものがあります。それは、先生自身も持っていない「資格」です。
多くの民間資格は、「指導可」の資格を得た人が、生徒をとって新たな「指導可」の資格者に育てていく、というシステムを持っています。つまり、指導可資格が無ければ自分の生徒の資格申請ができないのです。これが、指導可資格の場合の無資格と有資格の決定的な違いです。


 

花の国家資格に「指導可資格」は無い

花関連の国家資格には、フラワー装飾技能士園芸装飾技能士造園施工管理技士があります。
上記の三つの資格の中に、指導可資格、つまり指導者として後進を育て新たな資格を出すことを目的とした資格はありません。
上の項に書いたような、「資格申請のできる指導者資格」は、民間特有のものです。先生が新たな先生を育て、資格を発行する組織に所属させることで、組織を発展させていく目的を含んだ資格のあり方なのです。

フラワー装飾技能士などの国家資格は、この考え方で作られた資格ではありません。そもそも「指導資格」ではないのです。
上の項に、「無資格の先生は、生徒に資格を取ってあげられない」と書きましたが、「有資格者だが、生徒に資格を出すタイプの資格ではない」ことはあるのです。

では、指導資格ではない資格は何のためにあるのかと言えば、純粋に技術の証明です。フラワー装飾技能士などは、簡単に合格できる資格ではないので、技術の証明としては一流のものです。

この、一流の証明書の力で、「フラワー装飾技能士試験対策講座」のようなものを開講している人はいます。フラワー装飾技能検定を受験しようとしている人たちを生徒として集めて指導をするのですが、これは学習塾の先生のようなもので、勉強の面倒は見るけれど、「先生を通じて、先生の門下生として資格申請する」わけではありません。
「対策講座」自体も、誰の許可も取らずに開けます。ということは、フラワー装飾技能士でない人が開講しても、全く違反行為ではありません(フラワー装飾技能士だ、とうそをついたら詐欺になります)。ただ、先生が検定を突破していない人だとなると、講座に説得力が無くなりますので、現実的には難しいでしょう。しかし、圧倒的な技術・経験・指導能力があれば、不可能ではありません。


 

いけばなの先生と資格

(いけばなは、他のジャンルよりも「習うこと=免状を取ること」の印象が強いため、特に一項を設けます)

前述したように、無資格のいけばなの先生というものは、あり得るのです。本人が「資格は要らない、でも指導はする」と思うなら、それができます。
もし、「無資格で教える」という状況が心地よいなら、そのままで良いと私は思います。いつか、無資格では不便だと思うことが多くなったら、その時に指導資格を取ることを考えたら良いのではないでしょうか。

いけばなの世界で、無資格ではできないことは「生徒さんの資格申請をしてあげる」ことだけではなくて、流公式の花展への出品や、有資格者しか申し込めない講座・イベントへの参加などもあります。
ある程度本格的にいけばなを習っている人にとって、花展や高度な講座の受講は魅力的なものです。

そのようなものをトータルで考えて、「指導資格があった方が良い」と思うときが来たら、取ったら良いと思います。流は、有資格者を増やしたいと思っていますから、長年資格を取らなかった人でも「資格が欲しい」と言えば歓迎されます。

もし、指導資格が要ると思うことが無かったら、最後まで取らなくて良いでしょう。


 

資格無しでもやりやすいジャンルは?

資格無しでも花の先生業をやりやすいジャンルは、現在のところは、園芸系・押し花・ハーバリウムなどです。要するに、この3つのジャンルは、「資格を取る」というイメージが薄いので、教室から技術さえ持ち帰れれば、生徒さんたちが満足してくれるのです。

お客さんたち(=生徒さんたち)の満足度は、イメージだけでも変わります。ということは、イメージが変化すれば、上に書いたジャンルでも、資格が無いと開講が難しい時代がいつか来るかもしれません。



 

資格は、他人を納得させやすい

この記事で書いてきたように、花の先生に資格は必須ではありません。
しかし、シンプルに「教室の開きやすさ」「集客のしやすさ」で言うと、資格があった方が話が簡単に進みます。

世の中の花の資格のほとんどは、「取った人の手元で、ただの学習記録として存在している」ものとなっています。取った資格を活用している人は少なく、取得にかけた金額に見合う活用をしている人はもっと少ないです。そのため、多くの花の資格が「所詮、自己満足で取るもの」と言われます。

にもかかわらず、いざ開業・開講しようとすると、世の人は資格の有無で全く違う態度を見せます。実際に、花の技術を仕事にしようとして動き出すと、花の証書には他人を納得させる力があることを知ることとなります。
今、花の資格のある人などは数えきれないくらい存在して、中には誰でも取れる資格もあるというのに、人は花の証書一枚あるだけで、証書なしではついてくれない交渉のテーブルについてくれるのです。

上の文を読んで、ならば取ろうか、と思うのか、
それでも要らない、興味ない、と思うのか、
自分の心が選択する方を選んでください。

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