花の生産農家の仕事。アルバイトするなら。生業として就農するなら。
花の生産農家
花を生産する仕事
花を栽培して出荷する花農家も、花の仕事の一つです。
この記事では、主に花生産農家のアルバイトについて紹介します。
本業として就農することについては、専門性が高いので、記事の最期に少しだけ触れるにとどめます。
花農家のアルバイトは多様である
花農家の仕事は、意外に誰にでもできる仕事を含みます。もちろん、プロの技術、判断があってこその花農家の仕事ですが、末端の仕事は今日来た素人にもできることはあるのです。
しかも、農家の繁忙期は、文字通り猫の手も借りたい状況となるため、「来られる人は誰でも拒まない」空気になります。よって、花農家が未経験のアルバイトを募集することはよくあることです。
その一方で、将来的に就農しようと思っている人を育てる目的を含むアルバイト募集もあります。(正社員・研修生・インターンの募集ももちろんアリ)
つまり、花農家の求人は、かなり多様なのです。
その勤務地や待遇も多様です。一都三県の中でも探せれば、北海道や沖縄のリゾートバイトでも探せます。
寮に住みこんでの働き方もあり、通える日だけ通ってくれれば良いというところもあります。
年単位の就業を望まれることも、ほんの数日の短期バイトもあります。
本気で探せば、自分の働きやすい求人と巡り合えることができるでしょう。
花農家の生産品も多様で、「切花」「鉢もの」「球根」「花種」などの中で、すべて満遍なく扱うところもあれば、ピンポイントに専門的な生産をしているところもあります。「胡蝶蘭鉢専門農家」と「花球根専門農家」では、相当業務内容が違います。
もしも、「こういう路線の花農家で働きたい」という希望があるなら、事前に良く確認しましょう。
多くの花農家が、野菜も作っている
花農家は、花だけでなく野菜も作っていることがあります。
もしも、花の生産の仕事以外は全くしたくないのであれば、自分が就くのは花生産なのか、野菜生産もすることになるのか、事前に確認しましょう。
野菜生産の作業も、花の生産に通じるところは多く、花農家のアルバイトを希望する人にとって興味を持てないものではないだろうと思うのですが、「野菜の作業をさせられているうちに、いつしか野菜担当になる」こともあり得るので、どうしてもそれが嫌なら、希望を伝えておくと良いです。(これは、上手に伝えないと「選り好みする人」として敬遠されるかもしれません)
花農家アルバイトの応募資格について
花農家のアルバイトに求められる資格が厳しいことは少ないです。後継者を探しているような農家でもなければ、年齢の制限さえ無いことが珍しくありません。
しいて言えば、運転免許はあった方がいいかな、という程度です。トラックやトラクターの運転ができると、喜ばれることもあります。しかし、ハウス内・作業所内に一日中こもる仕事をするのであれば、運転免許など全く必要ありません。
花関係・園芸関係のライセンス(例:園芸装飾技能士、グリーンアドバイザーetc)を持っていても、採用時にはあまり重視されません。しかし、せっかく持っているのであれば、履歴書には書いて良いでしょう。
農作業の経験は、実際に経験あるならば書いた方が良いです。たった一日のアルバイトであったとしても、全然違うタイプの作物の経験だったとしても、ぜひ書いておきましょう。酪農でも書いて良いと思います。
学歴もほぼ問われないですが、農業か園芸関連の学校(専門学校も含む)を卒業・または在学中であれば、書いて損はありません。
服装も髪型・髪色も、ほとんとの求人で「自由」のはずです。ただ、服装は、「自由」と言われても、農作業に適した服装をしないと、本人が働きにくくて困ることになります。
花農家の主な仕事は?
花の生産農家の仕事は、およそで言うと、
◆土作り
◆種まき
◆植物の管理……水やり、芽かき、植え替え、施肥、薬剤散布、除草
◆収穫
◆出荷と、それに伴う作業
◆農地・ハウスの管理
◆生産計画
◆営業
◆後継者の育成
などです。この中に、誰にでも、未経験者にもできる仕事はたくさんあります。
未経験者に任せてもらえる花農家の仕事は?
未経験の人にもすぐできるような仕事とは、たとえば、脇芽だけをつまんでいくとか、ポット苗にラベルを貼っていくとか、切り花の葉を取る、草むしり、決められた方法でネットを張る、などなど、他にもいろいろあります。
これらの仕事は、丁寧にすることは求められますが、熟練の技は求められず、子供でもできるレベルのことも多いです(実際に、農家の子供は小学生でも手伝う子は手伝います)。
仕事の多くは、コツコツ・黙々とするものになるでしょう。つまり、「コツコツ・黙々系」の仕事が苦手な人には、つらい仕事になる可能性があります。
逆に、向いている可能性が高い人は、「コツコツ・黙々」が苦にならず(むしろ気楽に感じるくらいがいい)、体を動かすのが性に合っていて、手抜きができない性分の人です。そこに、「観察力アリ」が加わると、かなり喜ばれる働き手になるでしょう。
花農家にかかわらず、農家の仕事は、手抜きやサボりが身についた人には向きません。「結べ」と言われたらきっちり結び、「閉めろ」と言われたら確実に閉める、休憩時間前には手を止めず時間がきてからきっちり休憩する、そういう人が求められます。
「サボり」は、うまく立ち回ればバレないで済むこともあるかもしれませんが、作業の手抜きは必ず見つかります。「簡単な作業である」=「適当でもいい」ではありません。
花農家アルバイトの時給や待遇は?
花農家のアルバイトは、素人の手伝い程度では、時給は最低賃金のラインだと思ってください。高い時給がもらえるのは、正社員か、経験豊富な人、特殊技能のある人などです。
その他、待遇としては、(農園により異なりますが)
◆社員寮や、住み込み環境あり
◆バイク、マイカー通勤可
◆送迎バスあり
◆労災保険あり
◆豊作時にボーナスあり
↑などが見られます。
農園は、交通アクセスが不便なところにあったり、周囲にコンビニも無いようなところにあったりもするため、「休憩室完備」「喫煙所あり」「お菓子の用意あります」というように、なるべく快適に過ごせる環境を用意してくれているところもあります。
将来的に就農を考えている人に対しては、後進を育てることに熱心なオーナーなら、農家の勉強会や親睦会に呼んでくれたり、JAや種苗会社の人などと、人脈として有益な出会いを作ってくれたりすることもあります。
逃げ出さない覚悟をして行こう
人には頑張っても越えられないハードルがあることがあります。花農家の仕事に、自分の超えられないハードルがあるのではないかと、一度は疑いましょう。
例えば、
「生理的に虫がダメ」
「暑さだけは耐えられない」
「体力的に、この動作を長時間はできない」
などです。
仕事なら、全部我慢できるだろう、と言うは易いのです。いえ、基本的には就業したなら全部我慢するべきことなのでしょうが、それでもどうにもならないことが現実にはあります。
トライしたいが不安はある、と言う場合は、なるべく短い期間のアルバイトからチャレンジしてみましょう。就業期間を勤めあげずに去ることは避けたいですが、もしも首や腰を痛めてしまった場合には、自分の体を優先することも致し方ないです。
農家の仕事は、しゃがみっぱなし、立ちっぱなし、同じ動作の繰り返し、暑いハウスの中の作業、炎天下の作業、力仕事、←これらの仕事に満ちています。また、ハウスの中でも虫はいます!
花農家の考え方は、どこでも一緒ではない
どの業界でもそうだと思いますが、そのジャンルの企業の考え方が、全部同じだということはありません。花農家もその通りで、各農家さんの考えは、それぞれ全く違うと思っていた方が良いです。
なので、花農園のアルバイトを何か所かするならば、前に働いた農園の常識が、次の職場の農園でもすべて通用するとは考えないでください。
例えば、同じ百合農家でも、規模、扱い品種、儲け方、営業先、将来のビジョン、などが全部違ったら、アルバイトの動かし方もぜんぜん違うかもしれないのです。(いろいろなものが全然違うのに、アルバイトのすることは結局同じ、ということももちろんある)
花農園のアルバイトの回数を重ねると、慣れてくるところは当然ありますが、その一方で、いつでも全然違う新たな考え方に出会う可能性が高い、とも思っておきましょう。
花農家アルバイトのメリット、デメリット
花農家でアルバイトするメリットは、
◆初心者にも着手しやすい仕事が必ずある
◆きれいな花に触れられる
◆園芸系の資格講座などよりも、実践的な栽培技術がお金をもらいながら覚えられる
◆花卉流通の知識を得られる
◆就業先農家の作物(切花・野菜・果物等)をもらえることがある
◆就業時間の希望が比較的通りやすい
などです。
デメリットは、
◆給料は低め
◆日焼けする
◆体力的にきつい
◆手が汚れる(洗っても落ちないレベルで)
◆虫が出る
◆首・腰・背中などを傷める危険アリ
◆(農園によって)単純作業しかやらせてくれない、ステップアップできない
◆農閑期は就業日が激減する
などです。
花農家アルバイトの求人を探す
花農家のアルバイトは、求人サイト、農業求人サイト、JAの求人ページなどで探せます。例えば、下のようなところです。
◆農業・一次産業の求人サービスYUIME
◆JAグループ 農業求人ポータルサイト
◆求人サイト indeed 花農園アルバイト
求人サイトで探すなら、「花農家」「花 農園」「花 農業」「花卉生産」のキーワードで検索して見ましょう。
ネット以外では、ハローワークや、JAに相談してみるという方法でも探せます。
もし、農家に伝手があるなら、直接相談してみるのも良い方法です。その農家が人手を求めていなくても、知り合いの農家を紹介してくれるかもしれません。
本格的に就農を目指すなら
このサイトのゲスト様にはあまりニーズが無いかもしれませんが、就農に関する情報も少々書いておきます。
就農に役立つスクールは?
以下のようなスクールで、農業について学ぶことができます。
◆園芸専門学校
◆農業高校
◆農大
◆農業大学校
◆大学の農学部や園芸学部
たとえば、以下のようなサイトで学校・スクールを探すことができます。
◆スタディサプリ 進路……農学
◆スタディサプリ 進路……農業
まずは勤め人になって就農を目指すなら
農家として独立する前に、どこかに勤めながら農業を勉強したいのであれば、就職先としては、下記のようなところがあります。
◆農園……アルバイトや、正社員としてどこかの農園に就職します。家族や親類に農家がいるととても話が早いです
◆JA……JA職員となり、農家や作物の流通について理解を深めてから独立します
◆農業支援にかかわる団体や施設……農業実験センター、農業研修センター、農業担い手育成センター、就農相談センターなど、様々な名称の就農関連の現場で働き、自分が就農するときのための糧とします
就農の研修ができる場所を探す
下記のような場所やサイトで探せます。
◆JA……実習生の募集や、就農支援のセミナーを行っている場合がある(その他、各種の相談にのって貰えます)
◆農業試験場……実習生の募集や、就農支援のセミナーを行っている場合がある
◆農業をはじめる.jp 農業インターンシップ
◆各自治体の就農支援情報
農業と補助金・助成金について
就農に関する、各種の補助金・助成金があります。地方に移住する場合には、移住に関する助成金がある場合もありますので、探して見てください。
近年、農業界は深刻な人手不足状態なので、金銭的な支援制度が手厚くなっています。農林水産省や、各自治体などの公式サイトをチェックしてみると良いです。
ただし、補助金・助成金は、安易な資金調達の手段としてとらえるべきではありません。そのお金を有益に使い、無駄にしない覚悟を持って使いましょう。
そして、説明書類・申請書類は熟読しましょう。このような制度は変更されることがありますので、「以前申請した人」の話だけ聞いて鵜呑みにするようなことは危険です。「支給金」なのか、「借入金」なのかを間違えれば、大きな借金を背負い込むこともあり得ます。
また、義務付けられた書類の提出には、正確なことを書きましょう。生産計画を添付しなければならない場合などは、実現できない絵空事を書くべきではありません。
国や自治体から出る補助金・助成金は、不正に受け取るのはかなり悪質な行為と捉えられます。無知なだけで悪意は無かったタイプの不正受給も、「みんな(国民や県民みんな)のお金を、ウソを言って自分のものにした」ことに変わりは無いからです。
農業に向く性格は……
農業に向いているのは、農業アルバイトとほぼ同じで、
「コツコツ・黙々」が苦にならず、体を動かすのが性に合っていて、手抜きができない性分で、観察力がある人
が、その可能性が高いです。
更に、経営者になるのであれば、
営業力・発想力があり(珍奇な発想でなくてもかまわない)、トライアンドエラーに喜びを見出せる人
が良いでしょう。