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花の資格を持った人が花屋に入ると、こんなことが起こる(悪く作用する例を挙げます)


(悪く作用する例)

このサイトで何度も書いていますが、花屋になるためには、花の資格は特に必要なものではありません。むしろ、それが邪魔になることもあるとお伝えしてきました。
では、花の資格を持っていると、花屋業務の上でどんな良くないことが起こる可能性があるのかを、具体的に例を挙げて書いてみようと思います。(必ず悪いようになるわけではありません。良い方向に持っていく方法も書きます)


 

花の資格を持っていることが、悪く作用する例

◆過剰なプロ意識を持っている

花の資格を出す団体は、
「この資格を取れたら、プロの知識・技術が身につく、花業界で即戦力で働ける」
という謳い文句を簡単にいうものです。そのため、資格が取得できたら(しかも、そこそこ頑張って取ったらなおのこと)、これで自分も十分にプロとしての自信を持てる、と思い込む人がいます。

その人が勉強したジャンルでは、立派な成果かもしれませんが、それが花屋の現場で通用するとは限りません。限らないというか、私の見たところでは、あまり通用しません。それに気付かず、素人同然の自分を「いっぱしのプロ」と誤認し、それを改めることができないでいると使いにくい新人になってしまいます。

【良い方向にするには】

資格取得した自信は持ち続ける方が良いです。実際に、頑張ったのですから。ただし、それが花屋の現場でどの程度の武器になり得るのかを、自分でクールに見極めてください。花の資格を、自分で過大評価しないこと。花の資格と花屋の業務は、全然別のことかもしれない可能性を忘れないでください。

 

◆技術をほとんど持っていない

花の資格は色々ありますし、教室も色々あります。その中には、高い技術を授けてくれないところも実際にあります。
自分が修めたものは、大した技術ではない、と本人がわかっていればいいのですが、それをわからずに、あたかも大した技術のように披露すると、「本質的に、仕事の質がわかっていない人」と思われます。

【良い方向にするには】

自分が得た資格の実態を知り、自分の技術が仕事場に持ち込んで良いものかどうかを見極めてください。

 

◆理論にこだわりすぎて前進できない

理論にこだわるというか、「とらわれすぎている」と、可能性がむしろ狭まります。理論の後ろ盾があっても無くても、花屋の現場で役立つことは身に着けていかなければなりません。
事前にしっかりと説明してくれる教科書のようなものが無いと納得も習得もできない人は、とにかく体で覚えていくタイプの花屋では、成長するのが難しいことがあります。

【良い方向にするには】

理論は、知っていて何も損はないと思います。しかし、賢く利用してください。とにかくやってみろ、動け働け、と言われているときに、「でも理論的には……」と言っていてはいけません。体で覚えるべきときには、いったん理論を置いておける柔軟性を持ちましょう。

 

◆自分の知っている知識を「唯一の知識」と思い込んでいる

例えば、フラワースクールで教わった葉の取り方しかしない、フラワースクールで教わったワイヤリングしかしないetc……というようなことです。しないというか、それ以外の方法を認めず、自分の習った方法が唯一にして最高、と思っていると、融通の利かない人になってしまいます。

【良い方向にするには】

自分の知っていることは、膨大な花の技術・知識の中の一部にすぎないと思い、別の技術や考え方に出会ったときに、それを否定せずに自分の糧にしていく気概を持ってください。

 

◆合理的に動けない・動きが遅い

これは、意外によくある大きな問題です
フラワースクールやお教室に慣れた人は、一度に3つも4つもの仕事をこなしながら最短のラインを選ぶ必要のある、合理的な「商売人の素早い動き」になじむのに時間がかかることがあります。お教室の空気感に慣れ親しんでしまった人ほど(つまり、長く勉強した人ほど)、この傾向が顕著です。つまり、花を目の前にして、急ぐ習慣がないということかと思われます。

【良い方向にするには】

複数のスタッフがいる店なら、自分の動きだけがおっとりしていることに気が付くと思います(気が付いてほしいです)。気が付いたら、自分の動きをビジネス仕様にする努力をしてください。要するに、花の教室内の動きは、とてものんびりしているものなのです。ワイヤリングなどの作業スピードも、片付けのスピードも、商売人から見ると遊んでいるような速度です。あのスピードが間違っていたのだ、という意識を持つくらいでちょうどいいです。

 

◆商売の意識を持つのが下手

花の有資格者は、自分ではプロの意識を持っているつもりでも、その実、趣味の花好きの意識から完全に抜け出ていないことが多いです。
気持ちがビジネス仕様になっていないと、商品よりも作品に寄ったものを作りたがり、時間も材料も無駄に費やして、それを悪いこととも思わない……つまり、報酬に見合わない時間と労力を平気でかける人になってしまうことがあります。
自分の店でそれをやるならいいですが、アルバイトの身でそれを平気でやってしまうと、店の儲けにつながらない人と思われても仕方ありません。

【良い方向にするには】

この仕事の仕方はペイしているのか、という意識を常に持ちましょう。自分が「ビジネス仕様になりにくい素養がある」と思ったら、なおさら強力にその意識を持ちましょう。
上の項にも通じるのですが、報酬に見合わない時間のかけ方をするのは非常によくありません。商売人は、「時は金なり」です。時間の無駄はお金の無駄、時間の節約はお金の節約、と思いましょう。

 

◆サービスする側に立つのが下手

上の項に通ずることです。花の教室に通っている人の立場は、「お客さん」です。つまり資格を取ると、お客さんでありながら、「あなたはプロの、お客さんにサービスする側のスキルを手に入れたのだ」と言われるのです。一度もサービスする側を体験していなくても、です。
それを、そのままお客さんの前に出て、教室でやった通りの方法でサービスする側になろうとすると、自分がお客さんである状態から脱しきれないことがあります。

【良い方向にするには】

これは、一度でも接客業を体験すると、簡単に抜け出せるかもしれません。が、人によります。花を前にすると、自然に「お教室時代の自分」になってしまう人もいるからです。
自分でサービスする側であることの強い意識を持ち、先輩たちのふるまいを観察して取り入れていくなどして修正していきましょう。

 

◆店にそぐわないセンスを発揮する

花の資格を取る人は、花でいろいろやってみたい人、新しいチャレンジをして行きたい人が多いのです。そういう素質のある人が、教室で技術を手に入れているので、やろうと思えば斬新なフラワーショー的花飾りもできます。
その技術とセンスで、攻めた商品を作ること自体は悪くはありませんが、あまりにも店とマッチしないものを作り続け、しかもそれがウケなかった場合には、「有資格者には、変な色がついている」と言われてしまいます。

【良い方向にするには】

方法は二つあります。空気を読んで店のカラーに合わせていくか、自分のセンスと技術を磨きぬいて、その店らしくあろうがあるまいが人を魅了する商品を模索して作っていくか、です。 簡単にできるのは、前者です。しかし、信念があるなら、後者を選んでも良いでしょう。ただし、後者を選んで店の利益に結び付かなかった場合には、何を言われても仕方ないと思ってください。

 



クールに、謙虚になること。店のために働いていることを忘れないこと

上に書いた「花の資格を持っていることが、悪く作用する例」は、すべて、業務は業務、教室のお勉強は教室のお勉強と割り切り、その場にふさわしい考え方・動き方をしていれば回避できることです。
しかし、それができない人がかなり多いのが現状であり、そのために、花屋さんの中には、
「有資格者は採用するな」
と言っている人が珍しくありません。

「これだから、余計な色がついた有資格者は……」と言われたくなければ、クールに、そして現実的になってください。資格の証書など、花屋さんではほぼ武器にはならないのだと思ってください。資格があろうがあるまいが、店で重宝されるスタッフになるんだと決意してください。
上に書いた「悪く作用する例」は、要するに、お教室時代の甘さを引きずっているから起こることです。花屋の現場に、他所から甘さを持ち込んだら、嫌な顔をされるのは当たり前です。
甘さを捨て去り、花屋でまた一から勉強するのだと思ってください。お教室で習ったことが、現場で否定されることもあると知ってください。お教室で習ったことと、現場で叩き込まれることのうち、どちらが現実的で合理的なのか、いずれ自分で理解できるときが必ず来ます。
そして、その時には自分でわかると思います。花の教室で学んだことには有益なことがたくさんあって、決して無駄ではなかったこと、花屋の現場の中でうまく使う術と「真の接客のプロ意識」を持てば、改めて自分を強化してくれる武器にもなり得るのだということを。

 

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