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プロの華道家になる道筋は?


プロの華道家になる道筋

プロの華道家になるには、どんな方法がある?

華道家で報酬をもらい、仕事とするプロになるには、どんな道筋があるのか紹介します。
華道にかかわらず、あるものを生業にする方法・道のりはたった一つのはずはなく、様々な方法があるはずです。
本当にプロになりたいのであれば、それを一から模索するべきですが、
「一般的にどんな道筋があるのか」
「どんな実例があるのか」
など、参考にできる情報を得るのは無駄にはなりません。

無駄にはなりませんが、「この通りにやれば、誰でもできる」「絶対にこの通りに真似するべき」とは思わないでください。そのような安易な思考をしているようでは、プロになるのは難しいです。あくまでも、他人の経験は参考として、自分は自分の道を探しましょう。

 

 

最もオーソドックスな道筋:入門→指導免状取得→教室開講

99%の華道家が、おそらくこの方法でプロになっていると思われます(管理人自身もその一人です)。

この方法は、オーソドックスではありますが、「容易な」方法ではありません。
「入門→指導免状取得」までは、誰でもできると言えるレベルなのですが、その後の「教室開講」が困難です。いえ、教室を開くこと自体はそれほど困難ともいえないのですが、その教室に「集客」し、収入を得て「経営」していくことが困難なのです。

教えてお金をもらって、それで生活するということは、どんな道筋でプロ華道家になった人にとっても困難なことです。つまり、どんな道筋でプロ華道家になるのも、一定の難しさから逃れられない、ということです。


 

 

独学→華道家になる(流派を名乗らない)

誰の指導も受けず、独学でもいけばなを修めることはできるのだろうと思います。が、誰にでもできるものではなく、むしろ非常に難しいと思われます。実技を積み重ねる類の学習は、やはり手本がある方が深く、早く理解できるからです。

しかし、そのような難しいいけばなの修め方をしても、立派に実力が付けば花を生ける仕事をとったり、技術を人に教えることもできるはずです。
ただし、既成の流派に所属している人よりも、スタートで苦労するかもしれません。
世間には、「いけばな=流派」の意識が強く、「単独で、フリーでやっている華道家」を名乗る人を、簡単には信用してくれないかもしれないからです。この、スタートの関所を抜けるには、個人の営業能力や自己プロデュース能力が問われることになります。

また、流派を起こさずに「花を生ける技術に秀でた一個人」として教室を開く場合、いわゆる「免状」をどうするかという問題があります。
いけばなの教室に通う人は、いまだに「技術を取得した証明書」を欲しがる人が多いです。いくら勉強しても、免状に当たるものが出ないと知ったら、入門をためらう人はいるはずです。
「流派も免状も関係ない、この先生に習いたい」と人に思わせる力をつけないと、長い歴史と実績のある既成の流派の教室と渡り合うことは難しいでしょう。

それでも、本当に実力のある人は、それをやってのけるのだと思います。


 

 

独学→華道家になる(流派を起こす)

上の項にも書いたように、才能と努力の力で、独学で華道家になることは不可能ではありません。
で、華道家になったとして、上の項には「流派を名乗らない=個人の華道家になる」方法を書きましたが、独学から流派を名乗る方法のことも書いておきます。
独学で、流派に所属しないで生け花を修めた人が流派を名乗るということは、つまり自分で流派を起こすということです。

流派を自分で立ち上げるのは、実は意外に簡単にできます。自分で名前をつけて「〇〇流です」と名乗ってしまえば、それでもうできてしまうのです。
「流派の立ち上げ」だけなら、こんなに簡単にできるのです。しかし、立ち上げた流派をうまく運営してくのは、非常に難しいことです。上の項の「無所属、フリーの華道家になる」と同様に、既成の流派で固められた市場に参入していかなければならないのです。

「流派」を名乗っても、運営がうまくなければ、個人教室と同じくらいの規模にしか発展しないかもしれません。
それでも流を起こそう、それだけの覚悟がある、そうする使命がある、と思う人は、とにかく立ち上げるだけならリスクは無いので、チャレンジしてみてはどうでしょうか。


 

 

入門→流派を出る→個人の華道家になる(流派を名乗らない)

最初はどこかの流派に入門したのだが、のちにその流を出て、個人の華道家になる、という道筋です。
一度入った流を出るということは、何かしらその流にとどまれない理由があったことになります。
シンプルに「好きじゃなかった」という理由もあるでしょうし、「流と思想信条が合わない」「流と喧嘩してやめた」などの理由もあるでしょう。良くない理由としては、「流にいられないようなことをしてしまってやめた」などがあります。

上の「良くない理由」以外のものなら、胸を張って「フリーになりました」と言って良いでしょう。既存の流派に飽き足らなくなり、そこから一歩踏み出したのですから、立派なことです。
一度でも流に所属したことがあるなら、流にいることは、いずれプロになるなら楽な道筋であることがわかると思います。
それを、あえて厳しい道を選ぶのですから、それなりの覚悟が必要です。


 

 

入門→流派を出る→自分の流派を起こす

上の項と同様に、どこかに入門していけばなを修めるのですが、その後脱退し、自分の流派を立ち上げる、という道筋です。
色々な理由で入門した流を出て(あり得る理由は上の項に少々書いています)、自分の力で新しい流を作り出すということですが、無所属の個人で活動するよりも、流を起こした方が自分にはメリットが大きいと思ったらそうするのが良いです。

独学→華道家になる(流派を起こす)の項でも書いていますが、流を起こすこと自体は、簡単にできてリスクはありません。そこにメリットが乗ってくるなら、またそうしたい理想があるならそうするのが良いでしょう。
しかしながら、流を発展させるどころか、赤字にならないように運営するだけでもかなり難しいと思うので、この道筋をたどって成功するには才能が要ります。


 

 

職業としての華道は、フラワーアレンジメントほど間口が広くない

高い志を持って華道家になろうとしている人にとっては無用なアドバイスかもしれませんが、仕事としての華道は、フラワーアレンジメントに比べるとだいぶ間口が狭いです。
フラワーアレンジメントは、商品制作に直結している技術ですが、いけばなの作品を売るという行為は、ごく特殊な状況でしか成り立ちません。考えてみてください。「ネットのフラワーアレンジメントショップ」はあり得ますが、「ネットのいけばな作品ショップ」はありません(少なくとも今のところはありません)。花屋の技術も、いけばな的なものは少ないです。
そうなると、作品制作だけでなく、技術指導の仕事もしてきちんと軌道に乗せないと、生活できる収入にするのは難しいのです。
もちろん、圧倒的な技術・独創性・営業手腕・人脈・ものすごい強運、などがあればできないとは言いません。しかし、「難しい」というのは、厳然とした事実です。
それでもやる、絶対にやって見せる、という気概が無い人には、到底お勧めできない道です。

 

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