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花を生ける仕事(=生け込みの仕事)は、どうやって得る?


花を生ける仕事・飾る仕事は、どうやって得る?

花を生ける仕事・花を飾る仕事は、どうやって得るものなのか?

花の教室の出身者で、得た技術をお金にすることができている人たちは、「技術指導」、つまり教室の先生業で報酬をもらっている人が一番多いと思います。
しかし、技術指導よりももっとあこがれを集める仕事は(教室運営も十分難しい仕事なのですが)、どこかに花を生ける仕事(=生け込み)です。

管理人は、花屋で職人をしてきた年月が長いので身に覚えがあるのですが、
「一日中、店頭で花束を作ってた」
というのと、
「一日中、パーティー会場の花を生けていた」
というのでは、後者の方が人は感心してくれます。それだけ、生け込みの仕事は魅力的なのです。

自分で花を飾り、それが報酬を生む……花の技術者の側から見ても、これは大きな魅力がある仕事です。そして、そう簡単に、日々舞い込んでくる仕事でもありません。
では、その魅力的な生け込みの仕事は、どうやって得られるものなのか。どのようなルートで巡ってくることが多いのか、管理人が直接見聞きした例を紹介したいと思います。

生け込み装花の仕事を得る方法に、必勝法はありません。なので、この記事を読めばすぐにうまくいくということではありません。
実例として、こういうものがあるというところは紹介しますが、本当に生け込みでお金をもらおうと思うなら、この記事の例を真似しているようではダメかもしれません。

 

 

飛び込みで営業する

勇気が要りますが、この方法で生け込みの仕事をとった人は、私は数人知っていますし、自分にも経験があります。
飛び込みの営業先は、私の身近な例では以下のようなところです。

◆近所の美容院
◆近所のケーキ屋
◆近所の車のショールーム
◆たまたま入った居酒屋
◆通りすがりに「ステキだ」と思った喫茶店

上記の中で、私自身の経験は、「近所のケーキ屋」です。
「たまたま入った居酒屋」は、カウンターで飲んでいて(つまり、客として入店して)、店の人と話しているうちに話がまとまったのだそうで、最初から花の営業で店に入ったのではないそうです。そんな方法もあり得るのですね。

私の身近な例ですと、全部「近所」と「たまたま」です。ご近所で、「こういうことをさせてもらえないか」といいやすい相手に交渉しているか、本当にたまたまめぐり合わせた場所で交渉しているか、どちらかです。
ずっと前から、あの店がステキだから交渉しようと思って準備していたというような、計画的なアプローチは、私の直接知っている例にはありませんでした。しかし、世の中には、そういう営業で仕事を得た人もいるはずだと思います。

当たり前ですが、飛び込みの営業というものは、うまくいかないことの方が多いものです。突然来て、花を飾らせてくれと言われて、すぐOKする相手はめったに居ません。不審に思われることすらあるかもしれません。
相手が仕事中にたずねていく場合は、これから忙しくなるようなタイミングで花の営業など持ちかけると、相当冷たい対応をされることもあり得ます。そんなときは、かなりのダメージを受けることもありますが、そもそも飛び込み営業とはそういうものだと覚悟しておいてください。

相手に、こちらの話を聞いてくれる気がある場合、話の大きな分岐点になるのは「報酬について」の部分です。
タダ同然で引き受けるのか、きちんと利益を出すつもりなのか、ある程度はあらかじめ考えて行った方が良いです。(考えていったものを、現場の空気で変えられる柔軟性はあった方が良いです)

飛び込み営業を何軒かすると、この方法の効率の悪さに気づくと思います。また、やみくもにやるべき方法でもないことも分かると思います。実際に、私が何の根回しもなく、全くの飛込みで仕事を得たのは、今までに一件しかありません。なので、私としては、お勧めの方法ではありません
しかし、「今、飛び込みで開拓したい」という意欲があふれているなら、トライしてみたらどうでしょう。それで営業努力が実るかもしれないのです。


 

 

知人・友人・親類縁者を頼る

どこかで、花を生ける仕事ができないものかと思ったときに、一番着手しやすいのがこの方法です。最初の生け込みの仕事はこの方法で得たという人が、一番多いのではないでしょうか。
私の身近な例は、下記のようになります。

◆友達の実家の化粧品屋のディスプレイ
◆自分の実家の経営する料理屋
◆親戚の経営する喫茶店のカウンター花
◆家族の経営する会社の玄関花
◆家族の経営する喫茶店

上の例から、経営者と話せるといかに有利かということが分かります。
タダで花を生けさせてください、と持ち掛けるならともかく、「花を生けるので報酬をください」と言うには、やはり経営者に近くないと難しいということなのでしょうか。


 

 

知人・友人・親類縁者など、自分に近い人から依頼される

上の二つの方法は、自分から仕事を得るために動いた例でしたが、逆に「向こうから依頼される」ということがあるのです。
私の身近な例では、

◆知人が経営するビジネスホテルのロビー花
◆知人が役員になっている集まりのイベント会場花
◆地元商店街のイベント装花
◆友人の結婚式・披露宴

などがあります。
このような仕事がもたらされる人は、

「私には花の技術があります」
「大きい飾り花も作れます」
「頼まれたら、いつでも請け負う気持ちがあります」

というアピールを普段からしている人です。なので、いつ舞い込むか分からない仕事のために、普段から各方面にアピールしておくことは重要なのです。


 

 

自分に関係ある集団(法人・団体・少人数グループetc)に、自分から申し入れる

友達や家族ほど気軽には頼めませんが、自分が所属している集団(たとえば、勤め先の会社・趣味や仕事上のグループ・地域の集まりetc)があれば、そこで花を生けるチャンスを見つけて、自分から「私に花を飾らせてください」と口火を切るという方法があります。
私の身近な例では、以下のようなものがあります。

◆仕事関係で出入りしている「○○協会」の総会のパーティ花
◆勤めている会社の受付花

できれば、交渉する集団に、技術料を払う予算があるかどうかをリサーチしてから申し入れるといいです。そもそもお金が出せない集団相手だと、結局ボランティアで請け負うことになるかもしれません。


 

 

教室・稽古場の人脈から依頼される

花の先生が、レッスンをすることで広がる人脈の中から、仕事依頼が来ることがあります。本当は、この経路でどんどん生け込みの仕事が入ってくるのが理想なのかもしれません。
私の身近な例では、以下のようなものがあります。

◆出稽古している会社の玄関ロビー花
◆レッスンで使っている花屋さんからの生け込み先の紹介
◆出稽古している学校の玄関花や式典の花

このような依頼は、腕と誠実さを信頼されてこその仕事ですので、普段の教室業務がいい加減な先生には回ってきません。


 

 

花以外のビジネスの人脈から依頼される

花以外のものを本業にしている人には、本業の方の人脈もあるはずです。そういう人たちに、
「自分は趣味で花を勉強しているが、仕事を請け負える取れるレベルの腕である」
とアピールしておくと、仕事がもらえないものでもありません。
私の身近の例では、

◆得意先の飲食店の装花
◆(会社から行かされた異業種交流パーティーでの会話から)ギャラリー装花

などがあります。

また、「花以外のビジネス」というタイトルからは外れる例で、ほかの項に入れにくいのでここに書きますが、私は「花屋の常連のお客さんから、個人的に生けこみ先(不動産屋の入り口の花)を紹介される」ということがありました。


 

 

こちらが「お客」の立場で長く付き合ってきた相手に交渉する

長いこと、こちらがお客として付き合ってきた相手に、花の営業をしてみるという方法もあります。
私の身近な例では、

◆常連になっている美容院
◆常連になっているレストラン

などがあります。お客さんとして行ったときに、なんとなく世間話から交渉していくのもよいし、最初から、「実は、自分の仕事のことでお話が……」と切り出していくのもよいでしょう。
店の側が、「この人には、だいぶ儲けさせてもらったな」と思っているほどのお客さんだと、話が進みやすいと思います。


 

 

人から譲られる

元々花を飾る仕事を持っていた人が、何らかの理由でできなくなり、「後を引き継いでくれ」と言われることが稀にあります。これは、自分の頑張りよりは運の問題なのですが、普段から花を頑張っている人でないと、なかなかこういうことは持ちかけてもらえません。
私が知っている例では、以下のようなものがあります。

◆先輩から料理屋の生け込みを引き継いだ
◆先輩から病院ロビーの生け込みを引き継いだ
◆先輩から居酒屋の生け込みを引き継いだ


 

 

流派やスクール経由で依頼される

いけばな流派や、フラワースクールの本部に装花依頼が入り、それを本部が各先生に仕事として発注する、ということがあります。流派やスクールが大きいところであれば、依頼元も結構大きいことがあり、個人の花の先生では営業をかけられないような大企業の仕事ができることもあります。
私はいけばな草月流をやっているので、草月の例を書きますと、和菓子屋・デパート・ホテル・各種ショールーム・日本料理屋などが発注されます。

大先生でないと依頼など来ないだろうと思いきや、私程度でも和菓子の老舗:虎屋がまわってきたりします。飛び込み営業をも辞さない私ですが、さすがに虎屋に個人でアタックはできませんので、こういうところは流派のパワーのおかげだと思います。


 

 

生け込み業務のある会社や店舗に就職する

宴会やブライダルをプロデュースする会社や、生け込み業務を主としている花屋に就職すると、日々の業務として花を生ける仕事ができます。私は、実際にこの職についていました。

パーティーの演出関連の会社に勤めるなら、装花をぜひとも担当したいことをアピールしないと、花製作とは無縁の部署に配属されるかもしれませんのでご注意ください。
生け込みの多い花屋に就職したいなら、求人の業務内容欄に、それらしき項目があるかどうかを確認してください。一般的な、町の小さな花屋さんだと、生け込みの機会など無いこともあるのです。

ただ求人情報を見るよりも、もっと能動的に探そうと思うなら、店舗の装花などを見かけたときに、
「このお花は、どこのお店が入れているのですか?」
と聞いてみて、納品した花屋を特定して飛び込みで雇ってもらえるように交渉してみる、という方法もあります。(成功率はかなり低いですが)

私自身のことを言いますと、「生け込みスタッフ募集」という、めったに無い求人広告を見て応募し、生け込みスタッフになって働いたことがあります。私が、生け込みの仕事を取っていく上で、この経験は非常に大きいものになりました。
私は、「生け込み専属スタッフの募集」というものは、あの一回しか見たことがなく、珍しい機会を得てよかったと思っています。


 

 

イベントごとがあると、自ら声をあげやすい

この記事を書きながら、私自身と、私の身近の人たちの例を思い返してみたのですが、自ら「私に花を生けさせてくれ」と声を挙げやすいのは、何らかのイベントごとがあるときです。

何かの祝賀パーティーや、何かの新規オープン結婚式何かの大会など、特別なことが起こるときに、花を生ける仕事の交渉はしやすくなります。

また、季節的なイベントも、花の営業のきっかけになりやすいです。
クリスマス、お正月、ひな祭り、七夕、ハロウィンなどのイベントのときには、店舗・自治体・各種団体などに話をもちかけるきっかけができます。

一番動きやすいのは、自分がイベントの運営にからむ場合で、とりあえず勝算があるかどうかわからなくても、「私が花を飾りましょうか?」と言ってみてはどうでしょう。


 

 

ボランティアなら、話は簡単になる

ボランティアで生け込み、つまり、「お金はいらない、花を飾らせてください」ということだったら、比較的簡単に多くの場所で受け入れてもらえるのかもしれません。

私自身も、勤め先の玄関ロビーや、地元公民館の入り口に、ボランティアで花を生けさせてもらっていたことがありました。
ボランティアなら、私の先輩たちに聞いた例も、数えきれないくらいたくさんあります。中には、どこかの大使館の玄関に、花の現物を持って「これを飾らせて」と申し入れた人もいて、快く受け入れてもらったと聞きました。


 

 

【実例】実らなかった営業の話

リアルな失敗の例も書いておきたいと思います。
私が今までに失敗した営業の「断られた理由」には、以下のようなものがありました。

◆陶器ショップ……花にお金をかけられません
◆ガラスショップ……ほかの花の先生と付き合いがあるのでNG
◆ケーキショップ……花を飾るなんて全然考えたこともない
◆会員制のクラブ……もう花屋が入ってます

上記は、先方が言った言葉をそのまま書きました。
私は、営業に失敗してショックを受けたことは一度もありません。断って当然と思うからです。無名の花の技術者の売り込みなど、普通なら迷惑な来訪に違いないのです。


 

 

SNSの活用

SNSでアピールしておくと、装花の仕事につながることもあるかもしれません。
SNSは、無料で情報を拡散できるところが強みです。以前なら、10万単位のお金をかけて、専門家に依頼して宣伝していたものが、自分のスマホの操作だけでもできるのはすごいことです。

SNSを花の仕事につなげたいなら、魅力的な画像を用意することをお勧めします。

 

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