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花の先生にまつわる、有りそうでなさそうな都市伝説


花の先生にまつわる都市伝説

花の先生のイメージから都市伝説が生まれる?

花の先生は(特に生け花の先生は)、浮世離れしている存在と思われるのか、先入観を持って見られていることが良くあります。
勝手に、
「こういう世界なんだろう」
「こういう人たちなんだろう」
という決めつけを受けることが多く、そのためか、下記のような都市伝説が、まことしやかにささやかれています。

 

伝説1 花の先生は、ものすごく儲かる

ものすごく儲けている人は、数えるほどしかいないと思います。つまり、「花の先生は、全員大儲けしている」と思っているなら、それは間違いです。当サイトのこちらの記事をご覧になれば分かります→お花の先生の収入を試算してみる

花の先生など、本来は小さな商売です。純粋に花の先生業だけで大きく儲けているのは、巨大スクール・流派のトップや、一般の人にも名を知られているような有名花アーティストになるでしょう。(その有名な花アーティストにも、私には「大変なんだろうなあ」と見える人が多いです)


 

伝説2 花教室の告知を出すと、あっという間に生徒が集まる

花の教室の看板さえ掛ければ生徒は獲得できる、というのは、大昔……たぶん昭和30年代くらいから言われていることです。そして、これを信じている人、多いです。
たしかに、昭和30~50年代くらいは、花の教室にとっては黄金時代で、生徒さんは集めやすい時代でした。しかし、そのころでさえ、「教室で生活をたてられるほどの生徒数がすぐに集められる」という意味ならば夢物語だったはずです。

現実は、昭和30~50年代のころなら、一般の人なら、
「看板を掛けると、比較的速やかに入会の問い合わせがくる。何件か来る問い合わせの中から、数人が入会することは珍しくない。看板をかけて、1~2か月で、小さくとも『教室』の態になる」
というくらいでしょう。
これが、地元人脈が豊かな人や、有名な人・社会的地位のある人の奥さんであったりすると、「一般の人」よりもさらに速やかに、さらに多くの生徒を集めることもできたでしょう。
しかし、花教室の先生全体の8割くらいは、お小遣い程度の収入ではなかったかと思います。多分、「無くてもかまわない金額」よりもちょっと多い、「あると有難い。失いたくはない」と思えるくらいの金額ではなかったかと想像します。(←私は、昭和50年代に花の世界に入門していますので、結構リアルな想像だと思います)

上に書いたことは、あくまでも「黄金時代には」です。
現在は、看板を掛けるだけのような受け身な告知では、生徒は集まりません。おそらく(特に都市部では)、何年たっても一件の問い合わせも無いこともあるでしょう(先生の数が少ない地域は、今でも少しは見込みがあります)。
つまり、相当戦略的な告知をしないと、生徒さんは一人も集まりません。腕が良いだけでも、生徒さんは集まりません。お金を取らず、ボランティアで開くなら、多少集まるのかもしれません。


 

伝説3 花の先生は袖の下をいくらでももらえる

花の先生は、教室の中で気に入りの生徒を優遇し、早く免状を出してあげたり、スクールや流派の良いポジションに推薦したりする、だから、先生に気にられるために、袖の下を渡してくる生徒がいくらでもいる……ということかと思います。

私の見てきた範囲では、そういう例はありませんでした。しかし、だから無いとも断言できません。
でも……今時そんなことは無いだろうと思います(昔はあったかもなあと思います)。現在の世の中で、そんなことをしている先生は生き残れないように思います。今でも生き残っているとすれば、ものすごく古く、ものすごく狭い世界で生きている先生だと思います。


 

伝説4 花の先生はおしとやかである

花の先生とおしとやかが結びついていたのは、花の習い事を「お作法」として習っていた時代です。現在、そのような教室は少ないので、花の教室に熱心に通うことと、おしとやかになることは直結し難いと思います。

私は、「花をやっている人はおしとやか」というのは、茶道と華道を混同している人の持っているイメージではないかと思っています。茶道教室の指導は一種のしつけであって、まさにお作法の話ですから。

「花の教室=おしとやか」は、根拠のない、ただのイメージです。が、花の先生も商売なので、そのイメージをプラスにとらえている人の前では、特に否定はしません。むしろ、利用するでしょう。


 

花の先生伝説は、大体昭和30年代くらいから更新されていない

上までの項を見ていただくとわかるように、花の先生関連の噂話は、主に昭和30~50年代に形成されたものです。そのとき、黄金時代を迎えていたお花の教室は、ジャンル自体に勢いがあり、マスコミにもよく取り上げられ、現実よりも少し誇張されたイメージが生まれ、定着しました。

そのときの印象が、実に50年以上もたった現在まで、上書きされずに出回っているのが現状です。花の教室に直接関係ない人には、リアルなイメージに上書きする必要も興味もありませんし、しかも、「昔からのイメージ」は、なんとなく野次馬根性を満足させる要素を含んでいるようで、記憶に残りやすいようです。

よって、花の教室のリアルな現状が大衆に正しく認識されるには、現在の大衆が持っているイメージよりも、さらに野次馬的に面白くインパクトのある状況が訪れ、上書き作業が行われる以外には無いのだと思われます。

 

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