HOME > コラム 目次 > 花の世界には、ボランティア仕事が多い

花の世界には、ボランティア仕事が多い


花の世界には、ボランティア仕事が多い

花の先生や、花の資格持ちの人で、お金をもらわずに技術提供している人、つまり、ボランティアしている人は多いです。これは、花の資格がお金を生みにくいものだという現実を表しています。

ボランティアとわかっていて、望んでするのは良いですが、こちらの労力・スキルを搾取されているのではないか?と思うなら、相手方との関係をよく見直しましょう。

この記事では、花のボランティア仕事にはどんなものがあるのかを挙げます。(ボランティアかどうか微妙なものも挙げます)

 

NPOなど支援・貢献関連の団体、企業の社会貢献活動 自治体などのボランティア活動に協力する

花は、ボランティア活動に結び付きやすい要素を持っています。
人に癒しをもたらし、季節行事との結びつきが深く、見て楽しむことも何かを作って楽しむこともできるジャンルなので、ボランティア企画に取り入れやすいのでしょう。

例えば、公共の場の花壇・プランター手入れ、公共の場の花生け。

学校・福祉施設・介護施設・児童館などで、フラワーアレンジメント講座・いけばな講座・ガーデニング講座・プリザーブドフラワー講座、母の日のカーネーション贈り、リース作り講座、季節やイベントごとの花生け。

いずれも写真映えがするので、ボランティア活動のPRポスターに使われることも多いです。


 

花のボランティアの探し方

既成のボランティアに参加したいということであれば、今ならネットで検索するのが一番早道です。

花の技術(フラワーアレンジメントやいけばな)がある人が、自分で一から花のボランティア活動をしようと思うなら、地元の社会福祉協議会に相談したり、福祉施設に自分で企画を持ち込んでみましょう。
相手によっては冷たい対応をされることもあるかもしれません。そのときには、無理に交渉しようと思わずに、他の道を探しましょう。


 

ボランティア仕事を依頼されたときに、あらかじめ確認すること

各種支援団体、NPO、自治体、一般企業、または知人から直接など、ボランティア講座、ボランティア生け込みなどを依頼されたときには、こちらから提供するものは何かを確認しましょう。

自分は技術だけ提供すれば良いのか?
道具や消耗品も提供するのか?
花の調達は誰がするのか? どこからするのか? その費用はどうなっているのか?

↑最低限、上記のことは確認しましょう。

また、花の講座を経験していない相手だと、花や道具を置くスペースの確保や、準備時間・片付け時間などを、全く理解してくれていない場合があります。例えば、いけばな講座の後始末を5分でやれと言われたら、相当綿密な段取りを考えなければなりませんが、その場で当然のように言ってくる人がいます。
段取りのことであいまいなことを言われたら、十中八九「わかっていない相手だ」と思ってよく確認しましょう。


 

花は、「仕事」と認識してもらえないことがある

プロの資格を持つ花の先生の講座でも、世間はなかなか「対価を払うべきもの」とは認識してくれません。花の出張講座を頼まれたと思って、話をよく聞いていったら、ギャラは無くボランティアだった、ということなどよくあります。
それなら、最初から「ボランティアでお願いします」と言ってくれれば良いのにとこちらは思いますが、相手からすると、「一回限りの花の講座など、当然ボランティアでしょう」という意識なのでしょう。

仕事と思ったらボランティアだった、とわかった時に、スケジュール的に無理だったり、よほど相手が無体なことを言ってこない限り、ほとんどの花の先生は引き受けます(だから向こうも当然と思うのでしょうか)。微力ながら社会貢献したいという思い、自分のスキルで楽しんでもらいたいという思い、何事も経験という思いなどがないまぜになって「ハイ」と言うのですが、「好きでやっている花なのだから、対価など無くて当然」と思われるのは本当は間違っていると思います。

向こうがタダで利用しようというなら、こちらも利用してやろうではありませんか。ボランティアの機会に、経験を積み、人脈も広げて、自分も十分に楽しみ、他ではできない交流をして帰ってきましょう。必ず、のちの糧にするのです。

もしも相手が、あからさまに「お金を払う価値の無い先生」の扱いをしてきたなら、二度と行く必要はありません。こちらの貴重なものを、その人たちにささげる甲斐がありません。


 

際限なく持ち出さないこと

ボランティアするときには、役に立ちたいという思いから、自分の持っているものをなるべく多く提供しようと思うのは自然なことです。
特に、花で何か創作する講座は、良いものを使えば使うほどクオリティの高い講座になるので、「あれも、これも」と提供してしまうと、大きな持ち出しにつながることがあります。

有料講座で、受講料から出せる予算が決まっているものは、際限なく素材や資材をつぎ込むことは無いものです。しかしボランティアは、自分で上限を定めておかないと、誰もストップをかけてくれません。むしろ、NPOや福祉施設の人たちは、こちらからの提供は歓迎してくれますから、その場の雰囲気で何でも自分が用意すると言わないように気をつけましょう。

自分の懐がいくら傷んでも良いなら、際限なく提供しても良いのです。しかし、大概現実はそうではなく、誰にでも限度があるものです。後で後悔しないようにしましょう。
また、初回に際限ない提供をしてしまうと、二回目以降もそれを当然と思われることがあります。長く続けたいと思うボランティアこそ、無理のない提供をしましょう。


 

花の先生の「内部的ボランティア」

花の先生達は、自分のジャンルの内部的ボランティアの仕事をすることがあります。その代表的なものが、下の二つです。

自分の所属団体のためのボランティア

これをボランティアと捉えるかどうかは微妙なのですが、「無償で労力をささげる」という意味では間違いではないので、一応加えておきます。
所属団体のためのボランティアとは、フラワースクールや流派の大きなイベントのために、無償で働くことです。その働き自体が楽しみな人たちがしていることなので、正直「奉仕している」という感覚ではないです。が、中にはしがらみによって参加している人もきっといるはずで、その人にとっては「奉仕の精神」でやっていることになるでしょう。

このような、楽しんで無償労働してくれる人を、イベントなどの運営側は、あまり軽んじてはいけません。「楽しみを与えてやっている」「そっちが来たくて来たんだろう」という空気を見せると、ボランティア側はすぐに察知します。互いに協力者として、尊重する気持ちを持ち合うべきです。

自分の先生や、先輩のボランティア助手

花の教室出身の人にはよくあることです。
自分の先生・先輩の、作品制作助手や、教室助手を、無償で頼まれることがあります。花で大きな売り上げを出している先生なら、日当が出ることもありますが、こちらの記事=お花の先生の収入を試算してみる でも書いているように、花の先生の儲けなど少ないものなので、ほとんどが当然無償のお手伝いとなります。

無償で依頼する側も、できれば相手の労力に報いたいと思っているので、「交通費だけは支給」「お茶や食事をご馳走する」「花展のチケットを提供する」など、機会があれば何らかしてくれようとします。これは、私の経験によれば素直に受け取る方が良いです。

この関係で、「ボランティアする側が搾取されるばかり」ということには、あまりなりません。なぜなら、依頼する側には「経験を積ませてやろう」という意図があることが多く、ボランティアする側もそれを当てにしているからです。どこかで、互いにフィフティフィフティである、という意識で成り立っている関係です。
もしくは、ボランティアする側が、依頼主側に圧倒的な好意を持っていて、損得関係なしに手伝いたい、という思いがある場合にも成立します。

ということは、自分には何の益も無く、ただ相手にこき使われている、手伝う義理などない、と思うなら、無償のボランティア助手はやめた方が良いのでしょう。ボランティアなので、やめるのは簡単です。やめにくいなら、ウソの理由を言っても許されるのではないでしょうか。

無償の制作助手は、先輩と後輩の関係でなくても、ご同輩どうしの中でもよくあることです。その時には、互いに相手の助手を勤め合って、どちらかが一方的に損をしないようにお互い気を付けるものです。

 

ページトップに戻る